水底の歌
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水底の歌―柿本人麿論 (下)
柿本人麿というと、百人一首にも歌が採用され、万葉集にも作った歌がいくつも採用され、古代日本の大歌人として知られている人です。しかしその生涯はもとより、生年、没年もはっきりとはしていませんでした。この本はその柿本人麿が誰だったのか、彼はどういう最期を遂げたのかに迫った本です。
柿本人麿というと百人一首の歌(声に出して読んでみるととても流麗な感じのする美しい歌だと思います)とか、子供のときに養父に向かって「私が知っているのは敷島の道(和歌のことらしい)だけです」と宣言したとか、断片的なことしか知らなかったのですが、この本の作者は「柿本人麿」というのが変名で本名は実は他にあったとか、彼が非業の最期を遂げたのではないか(「水底の歌」というタイトルの意味はここにあります)などという推理を、史料を元にして進めていきます。柿本人麿は確か持統天皇から文武天皇の頃の時代の人だったと思いますが、身の処し方を一歩誤れば身の破滅につながるきわどい時代だったようですね。柿本人麿だけでなく、この時代に暗殺・粛清された人々は数知れませんし、そういう人たちの作った歌も万葉集に数多く収録されているそうです(ただの和歌集ではなく非業の死を遂げた人々の鎮魂歌集に近いのかも)。日本の歴史に興味のある方にはお勧めの本です(古代日本も戦国時代並みに激しい時代だったと言うことがよく分かります)。
*この本もそうなんですが、読んでいて見え隠れするのは当時の大政治家・藤原不比等(のちの平安時代に最盛期を迎える藤原氏の始祖)の存在です。自分の名前は決して出さず、ひそかに当時の政治を操っていたのではないかと言う気がしてきます。
*この本の作者・梅原猛氏は日本の歴史に関係した著作をいくつも出していますが、その中では「聖徳太子」「神々の流竄(ルザン) 」がお勧めです。
神々の流竄(ルザン)
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