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November 29, 2004

メリーに首ったけ

メリーに首ったけ
ピーター・ファレリー

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2004-11-19
売り上げランキング 1,426

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メリーは性格よし、ルックスよしの誰もが魅了される女の子。テッドもメリーに魅了され、たまたま彼女の弟を助けたことから卒業式のパーティーに一緒に行けることになるが、生涯の悪夢になりそうなハプニングのため救急車を呼ぶ羽目に(笑)。それから月日が経ったが、どうしてもメリーをあきらめきれないテッドはメリーに会いに行くことに...

全編おバカでお下品なギャグの満載です。ここが勝負!と言うところでマメとソーセージをズボンのチャックにはさんでしまい(うひー)、せっかくのチャンスを逃してしまうテッド。あきらめきれずメリーに会いに行くんですが、魅力的な彼女の周りにはすでにまともとはいえない男たちが虎視眈々とチャンスを狙っていたのでした。障害者ネタあり(メリーに近付くためとはいえ、そこまでするか?)、動物虐待ネタありでお堅い団体が怒鳴り込んできそうな笑いが満載ですが、不思議にいやらしくはならないですね。この辺がメリーを演じたキャメロン・ディアスのうまいところでしょうか。テッドを演じたベン・スティラーも大笑いです。最初のマメとソーセージのエピソードもそうですが、メリーのもとへ駆けつけるときに間違ってホモの集会(集まって何をしているかは...想像がつきますよね)にまぎれ込んでしまうところも爆笑モノです。不謹慎な!と怒り出してしまう方には向きませんが、腹を抱えて笑える映画です。

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November 28, 2004

ネプチューン

*「ネプチューン」は「今はもういないあたしへ…」に収録されています。
今はもういないあたしへ…
新井 素子

早川書房
1990-01
売り上げランキング 128,678

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近未来の海上都市。1人の少女が発見された。自分の記憶を失い、どこか人間離れした雰囲気を感じさせる少女は「ネプチューン」と名づけられ、学生たちに介抱される。ネプチューンを狙って現れる男たち。「レキシガクルウ」とは何を意味するのか?

海で発見された少女。自分の記憶どころか、人間としての動きさえできず、解放しようとした学生たちから必死で逃げようとします(他の動物が接触しようとするということは、捕食活動以外の何者でもないってことですね)。学生たちの介抱を受けてネプチューンは次第に人間らしい感情を身につけていくんですが(体は確かに人間なのです)...ネプチューンは本来この世界にいてはならない存在でした。やがて男たちの追跡を振り払ってネプチューンは自分の世界へと還っていきます。人間としての思いを抱えて。その思いは次第により原始的な衝動となり、そして...イク。ドコカヘ。身を駆り立てるような衝動がやがては生物を地球にはびこらせ、宇宙をさえ望むようになってゆくとは。私も宇宙開発大好きでいつかは宇宙へと夢見ていますが、最初にこの本を読んだとき自分もやっぱりネプチューンの血を引いてるなと納得してしまった覚えがあります(苦笑)。金儲けとかの理屈じゃないんですよね。

*表題作の「今はもういないあたしへ…」は、コピーキャットの記事とあわせて読むと怖さもひとしおです。

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November 27, 2004

ヘレン・オブ・トロイ

ヘレン・オブ・トロイ 特別版
G.L.ブラットナー

ワーナー・ホーム・ビデオ
2004-06-04
売り上げランキング 8,627

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古代ギリシア。スパルタ王妃ヘレンはトロイの王子パリスと恋に落ち、夫のもとを去ってパリスと共にトロイへ逃げてしまう。激怒したスパルタ王はギリシア全土に呼びかけ、ヘレンを取り戻すためトロイへと攻め寄せる...

絶世の美女ヘレンをめぐって起こった、古代の一大戦争の映画化です(昔は伝説だと思われていたそうですが、シュリーマンによってトロイの遺跡が発掘されたためトロイが実在したことが分かったのだそうです)。ヘレンを演じる女優さんが非常に美しく、これなら争奪戦が起こっても無理ないな...と思わせます。もちろんこちらの映画でもアキレスの活躍が描かれるんですが(ただの乱暴もののオヤジに見えますが...いくら親友を殺されたからと言って、トロイの大将ヘクトルに対してあの扱いはないでしょ)、この映画でのアキレスは脇役で、あくまでもヘレンとパリスの恋に焦点が絞られています。そしてクライマックスの有名な「トロイの木馬」。王女カサンドラの制止にもかかわらずトロイの王は木馬を城内に引き入れてしまうんですが、この痛恨の過ちによってトロイは滅びてしまいます(ま、もとはと言えばヘレンが原因なんですが)。禁じられた恋から迫力の白兵戦、そして燃えさかるトロイへ...。もとになった物語を知らなくても楽しめる映画です。

*ところでこの映画、以前は「トロイのヘレン」というタイトルだったような気がするんですが。

*この映画の元になっているのがホメロスの叙事詩「イリアス」です。古代ギリシアの神々も戦争に参加してさらにややこしくなってますが、こちらも面白いです。
イリアス〈上〉
イリアス〈上〉

イリアス〈下〉
イリアス〈下〉

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November 26, 2004

モンテ・クリスト伯


ナポレオン失脚後のフランス、マルセイユ。エドモン・ダンテスは船長就任を打診され、許嫁のメルセデスとの結婚を控えて幸福の絶頂にあった。しかし彼の幸福をねたむ同僚たちから密告され、無実の罪で10年以上も投獄されてしまう。ついに脱獄を果たしたダンテスはモンテ・クリスト伯と名乗り、かつての同僚たちに復讐を始める...。

日本だと「岩窟王」の名前のほうが有名かもしれないアレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」です。これもまた復讐の物語なんですが、主人公は言葉巧みに仇敵に近付いて復讐を始めるのです。自分で直接手を下さず、相手が破滅していくように手を打っていく。そして相手が破滅したところで自分の素性を明かしてやるということです。最初から名乗って決闘や裁判に持ち込むくらいでは済まないほどの苦痛を与えられたら...やっぱりこういう復讐の手段をとるかもしれませんね。ひたすら復讐というわけではなくて、仇敵の娘と恩人の息子が恋に落ちてしまい頭を抱える主人公とか、かつての恋人の息子と対するときの主人公の何とも複雑な心境とか、当時のフランスでも名誉をずいぶん重んじていたらしいなど読んでいて面白いところが多いです。ちょっと長いですが、一気に読めると思います。そしてラストの「待て、そして希望を持て!」。いいせりふです。

*この作品なんですが、最初に読んだ翻訳版のあとがきを読むとどうやら実話を元にしたらしいのです。パリの青年がスパイ容疑で投獄されるが獄中でミラノの僧と親しくなり、出獄後に教えてもらった財宝を掘り出しその金の力で復讐を遂げた...本当にこんな話があったとは驚きです。

*この作品をモチーフにしたと思う作品は数多いですが、その中では江戸川乱歩の「白髪鬼」と和田慎二氏のコミック「銀色の髪の亜里沙」がお勧めです。

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November 23, 2004

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ
佐原健二 水野久美 ラス・タンブリン 本多猪四郎

東宝
2002-01-25
売り上げランキング 6,759

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フランケンシュタインの細胞から生まれた山のサンダと海のガイラ。サンダはガイラの肉食を止めさせようとするがガイラは聞かず、2頭は戦い合うことに...

この映画、なんといってもガイラに尽きます。たいていの怪獣映画は都市を巨大な怪獣が破壊するのが見所なんですが、この映画に限っては違うのです。海で逃げようと必死に泳ぐ猟師に迫るガイラ(はっきり描写はされませんが、後でぼろぼろにちぎれた猟師の服が見つかります)、空港で女性をわしづかみにして食ってしまうガイラ。本当に食べている口元を映すのではなくてもぐもぐしているところだけなんですが、食事の後で服だけぷっと吐き出すガイラ(人間で言うとブドウ食った後で種と皮を吐き出す感覚でしょうか)...。人食い怪獣ってガイラだけでなくて、例えばギャオスもそうなんですが(平成ガメラシリーズのガメラ 大怪獣空中決戦でも、ギャオスが電車ごと人間をさらってきてフルコースのディナーを楽しんでいるシーンがあったような...)、ただもぐもぐしてるだけでなくその後で服を吐き出す描写が余計に恐怖を募らせた気がするのです。しかもガイラは人間型の怪獣です。内容にふさわしく映像もダークな感じで、完全に大人向けの映画だと思います。小さなお子さんのいるご家庭にはお勧めしません(トラウマになること請け合いです)。

*この映画の前作に当たるのが「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」です。こちらもなかなか面白いです。私が見たのはラストでフランケンシュタインがタコに海へ引きずりこまれるバージョンだったのですが、タコが出てこないバージョンもあるらしいです。

フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)
フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)

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November 22, 2004

夏姫春秋

夏姫春秋〈上〉
宮城谷 昌光

文芸春秋
2000-11
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夏姫春秋〈下〉
夏姫春秋〈下〉


春秋戦国時代、王室に生まれた少女・夏姫は実の兄と通じてしまう。その後も多くの男たちが夏姫に群がるが、男たちは次々と身を滅ぼしていった。最愛の息子さえ失ってしまった夏姫は絶望のふちで楚国の巫臣に出会う...

春秋戦国時代の中国で絶世の美女とうたわれた夏姫の物語です(だっきとか楊貴妃は知ってましたが、夏姫のことはこの本を読むまで知らなかった...)。少女の頃から実の兄と通じ、成長してからも多くの男たちが彼女に群がり、そして破滅していきます(実の兄も国王にはなりましたが結局殺されます)。あるときなど、夏姫に通じていた男同士で夏姫の肌着をわざわざ身に着け、お互い見せ合って喜んでいたそうです(えらく生臭いですね)。こんな姿を見せ付けられては息子はたまらないし、それがまた夏姫が息子を失う原因ともなっていくのですが...。これだけ聞くと夏姫は男を手玉に取り続けた妖女じゃないかと思ってしまうのですが、どうもご本人はずっと受身で、ただ大きな欠落があったためにそこに男たちが惹かれて自滅して行ったのではないかというのがこの本の作者の考えです。夏姫はようやく巫臣と出会い、自分にあった大きな欠落を払う儀式を受けます。これでおそらく彼女は美しくはあっても普通の人間の女性に戻ったのでしょう。

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November 21, 2004

13デイズ

13デイズ DTS EDITION
ロジャー・ドナルドソン

ポニーキャニオン
2004-01-21
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米ソ冷戦期。アメリカは社会主義国家となったカストロ政権下のキューバと国交を断絶する。キューバはソ連と手を組み、ミサイルを配備することに。本当にミサイルが配備されてしまえばアメリカは核ミサイル直撃の危機にさらされる。先制核攻撃を主張するアメリカ軍部。ミサイルを搭載して刻々とキューバに近づくソ連船。ケネディ大統領は決断を迫られていた...

歴史で言えば「キューバ危機」をアメリカの側から描いた映画です。タイトルはギリギリのところで折衝が続けられた13日間からきているようです。何とかして戦争に持ち込みたいアメリカ軍部。どんどんキューバに近づいてくるソ連船(多分核ミサイルを積んで)。途中でアメリカの偵察機が撃墜されたりして、事態はますます悪化します。これが最後!というところでロバート・ケネディ(ケネディ大統領の弟)がソ連側にアメリカの実情をさらけ出して迫力の交渉をし、最悪の事態だけは回避することが出来たんですが、あのとき世界の命運を握っていた人たちが一歩でも判断を誤っていたら...と思うとぞっとします(今頃は地球全部が廃墟になっていたかも)。

*国連でアメリカとソ連の代表がやりあうところがあるんですが、アメリカの代表が動かぬ証拠をソ連側に突きつけて回答を迫ったときのせりふ「地獄が凍りついても回答を待ちます」には笑いました。

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November 20, 2004

楽しい古事記

楽しい古事記
阿刀田 高

角川書店
2003-06
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この本は古事記(国造りの神話から推古天皇の代まで)のエピソードを解説した本です。「古事記」「日本書紀」というと、高校生のとき日本史の授業で習ったなとか因幡の白兎くらいしか思いつかなかったのですが、いやあ、征服のために戦って、感情の高まりを歌にうたって、情熱のままにSEXしてとおおらかですねえ。国造りの話で「成り余れる処を成り合はぬ処に刺し塞ぎて」なんて、読んでいて思わず笑ってしまいました。もっともおおらかと言うのは欲望がストレートに出てしまうことにもつながるようで、古代で権力闘争に負ければ一族皆殺しにもなりかねませんが(日本人は温和なんていいますが、奈良時代の初めくらいまでは権力闘争に負ければ当然のように殺されたり自殺に追いやられたりしていたようです。聖徳太子でさえ、息子の代になって蘇我氏に攻められて一族全て自殺に追いやられてますし)。

また、物語として面白いと言うだけでなく、古事記を作った側の事情もなんとなく見えてきて面白いです。自分の先祖の話はさりげなく飾り立てて盛り込んでるとか...古事記を読むと、逆に古事記が作られた頃にどの氏族が勢いを持っていたかも分かりそうです。

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November 19, 2004

サイレント・ランニング

サイレント・ランニング

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2005-01-28
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もはや地球上に緑はなく、わずかに残った植物を宇宙船で育てている近未来。宇宙船にドームを爆破し地球に戻るよう指令が下る。狂喜する仲間をよそに1人苦悩する主人公。彼にとってドームを爆破する(植物を全て見捨てる)ことは耐え難い苦痛だった。主人公は仲間を殺し、ロボットたちと共に1人宇宙船に残って植物の世話を続けるが...

冒頭からして主人公と仲間たちとの違いが浮き彫りにされます。宇宙船暮らしに飽き飽きして地球への帰還を切望する仲間たち。それに対して植物の世話を何よりの喜びとする主人公。彼にとって、植物を見捨てて地球へ帰還することなど出来ない相談でした。仲間を殺してまでも植物の世話を続けようとする主人公の態度には某環境保護団体を髣髴とさせて少々首を傾げてしまいますが、ともかくも主人公は森と、彼の助手をつとめるロボットたちと言う理想的な環境を手に入れます。しかし、楽園の生活も長くは続かなかったのです。仲間3人を殺してしまったことへの罪の意識。そして主人公を救助にやってくる地球の宇宙船...救助されれば今度こそ植物のドームは爆破されてしまうでしょう。主人公はどこにも逃げ場がなくなったことを悟り、ある決断を下します。ラスト、1体だけ残ったロボットが植物の世話を続けるシーンは何とも物悲しいです。

*この映画に出てくるロボット(ドローン)ってどことなくスターウォーズのR2D2に似ているような...時期的に言うとこちらのほうが先ですね。

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November 17, 2004

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アブサン物語

アブサン物語
村松 友視

河出書房新社
1995-12
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*文庫版「アブサン物語」も出ています。

作者夫婦の家にやってきた子猫。その子猫は「アブサン」と名づけられ、21歳で天寿を全うするまで作者夫婦と共に暮らし続けることになった...

作者夫婦と飼い猫アブサンとの、長い間にわたる関わりを描いた作品です。「アブサン」と言う名の由来は別にこの猫がアブサン好きなわけではなくて、まるでアブサンを飲みすぎたかのように嗄れ声で鳴き続けていたことからくるらしいです。猫を飼っている人なら恐らく思い当たるであろう数々のエピソード。作者が仕事中(つまり、原稿を書いているとき)に原稿用紙の上に近くにいるアブサンの尻尾が何度払っても垂れ下がってくるので、しかたなく片手で尻尾をつまみあげながら原稿を書いたというくだりには笑ってしまいました。そして、どんな生き物にも必ずやって来る老い。人間からみればあっという間に成長してあっという間に老いていくアブサンと共に最期の日々を作者夫婦は過ごします。どんな生き物でも別れを告げる日は必ず来るのだ、こんな風に看取られて死んでいけるのは幸せなことなのだと思っても...切ないものです。猫を飼っている方には最後のほうだけでも読むことをお勧めします。

*同じように老いた飼い犬と過ごした最期の日々をつづった作品に谷口ジロー氏のコミック「犬を飼う」があります。こちらもお勧めです。

犬を飼う
犬を飼う

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November 15, 2004

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン

大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン
特撮(映像)

徳間ジャパンコミュニケーションズ
2001-10-11
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ニューギニアからオパールと間違えられて日本に持ち込まれたバルゴンの卵。それは日本で孵化して、京阪神地区を暴れまわる。そこに宇宙から舞い戻ってきたガメラが現れ、2頭は戦い始めるが...

昭和ガメラシリーズの2作目、ガメラ対バルゴンです。背中から発する7色のプリズム光線と冷凍液(なんでニューギニア生まれなのに冷凍液を出すんだろう?)を武器とするバルゴンに対するのはガメラ。シリーズ第1作(白黒でした)で宇宙に追放されたはずですが、偶然隕石によって宇宙船が破壊されて地球に戻ってきます。この2頭が戦い始めるわけですが、地球を守るとか小難しいことを言わずに戦い始めるところがいいです。シリーズの他の作品と違って子供向けにもなってませんし。狂言回しとしてオパールを横取りしようとしてオパールごとバルゴンに食われるギャングも出てきます。冒頭の秘境探検的なムードから途中では犯罪映画的な色合いも入ってくるせいか、映画全体がダークな色合いを帯びていると思います。お子様向けとは言いにくいですが、特撮映画好きな方にはお勧めです。

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November 14, 2004

イグ・ノーベル賞

イグ・ノーベル賞 大真面目で奇妙キテレツな研究に拍手!
マーク・エイブラハムズ 福嶋 俊造

阪急コミュニケーションズ
2004-03-19
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イグ・ノーベル賞とは、「真似することが出来ない/すべきでない」業績を上げた人を対象に、毎年授与される賞のことです。映画だとゴールデン・ラズベリー賞が有名ですが(受賞しても名誉なことではないですが)、こちらは賞を授与するほうも受賞するほうもしごく大まじめ。科学に対して真摯な態度で向き合っている人に与えられる賞なのです(どう向き合っているかと言う問題はありますが)。なお、授賞式にはノーベル賞を受賞したそうそうたる顔ぶれも参加します(笑)。

この本はイグ・ノーベル賞受賞者の挙げた素晴らしい業績の数々を紹介した本です。読んでいて特に感銘を受けたのは(笑)、紅茶の入れ方を6ページにわたる規格として定めた英国規格協会(略してBSI。確かBSIってイギリスの工業規格だったような...)、ルアク(ジャワ・ジャコウネコ)の排出物から集めたコーヒー豆を使って世界一高価なルアク・コーヒー(コピ・ルアクと言うらしいです)を製造しているジョン・マルチネス氏の業績でした。特にルアク・コーヒーの製法に大きな役割を果たしているルアクのグルメぶりには声もありません。日夜真摯な態度で真理と向き合っている科学者たちの素晴らしい業績をぜひ読んでみてください。

*イグ・ノーベル賞の概要や受賞の模様については、ユーモア科学研究ジャーナルのサイトで見ることが出来ます。

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November 13, 2004

サロメ

サロメ
カルロス・サウラ

ポニーキャニオン
2004-05-19
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イスラエル王ヘロデは義理の娘サロメに心を奪われるが、サロメは義父を拒否する。サロメはそのころ投獄されていたヨハネに出会い、恋に落ちてヨハネを誘惑するがヨハネから拒絶される。サロメは義父の前で舞い、見事な踊りの褒美としてヨハネの首を所望する...。

オスカー・ワイルドの戯曲や聖書で有名なサロメの物語ですが、この作品はサロメとヨハネの物語をフラメンコで表現したものです。前半では監督(カウロス・サウラ)やサロメ(演じるのはアイーダ・ゴメス)、ヘロデ王、ヘロデア、ヨハネを演じるダンサーへのインタビューと、音楽、振り付け、衣装担当者との打ち合わせ風景、そして稽古の風景が紹介されます。そして後半ではちゃんと衣装を着けて音楽に合わせた通し稽古です。通し稽古のシーンではせりふは一切なしで踊りだけで登場人物たちの感情が表現されるんですが、感情表現にダンスがよく合っていたと思います。ヨハネにサロメが愛を求めるが拒絶されてしまうシーン、サロメが7枚の衣を1枚ずつ脱ぎ捨てていく舞いのシーンが官能的でイイです。ヨハネが首を切られるシーンがどうしてもはりぼてっぽくなってしまったのは残念でしたが。

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November 12, 2004

喪われた都市の記録

喪われた都市の記録 (上)
光瀬 龍

角川春樹事務所
1998-11
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喪われた都市の記録 (下)
喪われた都市の記録 (下)


人類が太陽系の惑星に植民都市を建設しつつある近未来。火星で、金星で、木星で「ある物体」が発見され、惑星を離れて飛び去っていった。植民都市は甚大な損害をこうむった。そして人々に届く「惑星アイララ」からの声。はるか昔に滅んだと言う「惑星アイララ」は、なぜ今その活動を始めたのか?

遠い昔に滅亡の危機に瀕し、いつか再開することを願ってちりじりになっていった人々。しかしかれらのやり方は少し変わっていました。他の星に移住してアイララを再興するのではなく、自らアイララを粉々にし、アイララの土の中に身を隠して眠りについたのです。いつか人々がアイララの土と共に再結集すればアイララそのものがよみがえります。しかしそれは太陽系に植民を進めていた人類にとっては大きな脅威となるものでした(実際にはアイララの人々は地球にもたどり着いていたのですが)。どんな文明にもいつかは必ず訪れる「滅び」。それがどのような形をとるのかは分かりませんが、文明の終焉のあとに吹くのはいつも滅びの風です。時の流れの無常さを感じさせる作品です。

*植民都市の名前「東キャナル市」、「ヴィーナス・クリーク」、「浮遊都市(プランクトン・シティ)」がなんとも魅力的です。宇宙戦艦ヤマトに出てくる「浮遊大陸」はこの辺が元ネタかな?

*星の海に乗り出していった人々を描いた星野之宣氏のコミック「2001夜物語」もお勧めです。

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November 09, 2004

ウエストワールド

ウエストワールド
ユル・ブリンナー

ワーナー・ホーム・ビデオ
2003-10-03
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人間そっくりのロボットを使い、古代ローマの貴族、中世ヨーロッパの騎士、そして西部開拓時代のガンマンになりきって楽しめるテーマパーク「デロス」。主人公は友人と共に休暇を西部開拓時代(ウエストワールド)で楽しむべくデロスにやってくる。早速無法者として振る舞い、牢屋から脱獄して楽しむが、そこにロボットの反乱が! 友人はロボットガンマンに射殺され、主人公は1人デロスを逃げ惑うことになる...

ユル・ブリンナーがロボットガンマンを怪演する「ウエストワールド」です。主人公は友人と共にデロスでまともとは思えない娯楽を楽しむわけですが(ロボットとはいえ人間そっくりのガンマンや保安官を撃ち殺して喜ぶんですから、あまり健全な娯楽とは思えません)、主人公の友人が砂漠でガラガラヘビ(これもロボット!)にかまれたのが予兆でした。デロスに朝が来て、ロボットに電源が入るとロボットは次々に人間たちを殺し始めます(中世ヨーロッパの騎士になりきって女王とアバンチュールを楽しむはずだったおじさんが気の毒)。主人公も友人を撃ち殺されて逃げ惑います。それをどこまでもどこまでも(そして、どこまでも)追い続けるユル・ブリンナー。このあたり、ちょっと「ターミネーター」を連想させます。主人公は辛くもロボットガンマンを撃退して一息つくのですが、生き残れたのは彼だけでした。どれだけ優れた技術であろうと、自分で完全にコントロールできない限りいずれは破綻が来る...という、科学技術への警鐘のようにも読めます。

*ところでこの作品のシチュエーション、どこかで見たことがあると思ったら、この作品の監督はマイケル・クライトン(「ジュラシック・パーク」の原作者)でした。

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November 08, 2004

吉原御免状

吉原御免状
隆 慶一郎

新潮社
1989-09
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江戸時代初期。宮本武蔵に育てられた剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。折りしも吉原では徳川家康が与えたと言われる「神君御免状」をめぐり、裏柳生の忍びとの暗闘が繰り返されていた。誠一郎はその争奪戦の真っ只中に巻き込まれていく...

吉原というと花魁が真っ先に思い浮かびます。そして「苦界」と言う言葉もあるとおり、男には極楽、女には地獄と言うイメージも...この作品はそんなイメージに疑問を呈し、むしろ吉原こそがまつろわぬ民として幕府から迫害を受けていた人々にとっての砦だったのではないかと、吉原に新しいイメージを吹き込んだ作品です。当時の吉原の風俗もふんだんに盛り込まれて、そこを読むだけでも面白いです。特に客と花魁が初めて一夜を共に過ごすときのしきたりですが、もう儀式と言って良いほど詳細に書き込まれています(こんなにしきたりが盛りだくさんでは、客もひと苦労です)。もちろん吉原の風俗だけでなく、主人公と裏柳生との死闘も盛りだくさんに描かれています。まるでビジネス書みたいな歴史小説に飽き飽きしている方には特にお勧めです。

*この作品、同じ作者の「影武者徳川家康」や「一夢庵風流記」と背景でリンクしています。あ、あの人が出てると思いながら読むのも楽しいです。

*この作品の続編が「かくれさと苦界行」です。こちらでは、主人公も敵役の柳生義仙も共に大きな転機を迎えることになります。そのために払った犠牲もまた大きなものでした。

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November 07, 2004

グラディエーター

グラディエーター

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2004-11-26
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帝政時代の古代ローマ。将軍マキシマスは、時の皇帝マルクスから次代の皇帝就任を打診されるが固辞する。しかしその会話を盗み聞きした皇帝の息子は嫉妬に駆られて父親を殺し、皇帝暗殺の罪をマキシマスにかぶせて自分はローマ皇帝として即位する。妻子を殺されたマキシマスは剣闘士に身を落とし、皇帝への復讐の機会をうかがうが...

古代ローマ時代の剣闘士を主人公にした映画と言うと自由を求めて戦った「スパルタカス」が思い浮かびますが、こちらは妻子の復讐のために剣闘士に身を投じたローマの将軍の物語です。「ベン・ハー」では復讐が成った後に主人公に救済が与えられますが、こちらでは復讐が成った後、主人公もまた妻子の元へと旅立ってしまいます。この後のローマはどうなるんだろうとちょっと心配になりますが、何よりも妻子を大事にしていた(この辺が今のハリウッド風ですね)主人公にとっては最良のエンディングだったのかもしれません。敵役のローマ皇帝を演じたホアキン・フェニックスがうまいです。

*ところで、皇帝マルクスに次の皇帝就任を打診されて主人公は何よりも家族が大事と断ってしまうわけですが、これ、今ならともかく当時のローマだったら将軍を即クビになっちゃうような...

*この作品に出てくる皇帝マルクス・アウレリウスは実在の人で、古代ローマに5人続けて優れた皇帝が出た時代の最後の皇帝だったそうです。マルクスは他の4人の皇帝とは違い、自分の息子に位を譲ってしまうわけですが、この息子と言うのがボンクラでしかも力自慢だけは好きだったらしいのです(このあたり、映画ともかぶってきますね)。優れた皇帝のはずがなぜボンクラ息子に位を譲ってしまったのか?このあたりの疑問に対する憶測の一つがこの映画で使われているようですね。

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November 06, 2004

復活の日

復活の日
小松 左京

角川春樹事務所
1998-01
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ほぼ100%の致死率、摂氏5度で爆発的に増殖!人類にとって致命的ともいえる細菌を載せた小型機がアルプス山中に墜落してしまう。やがて雪解けの春を迎えるが、人類には打つ手がなかった。細菌の猛威の前になすすべもなく滅びていく人類。残されたのは南極基地に住むごくわずかの人間たちだけだった...

小松左京氏によるSF小説です。初出は1964年ですからちょうど40年前の作品なんですが、いまだに古さを感じさせません。自らの作り出した細菌(しかも、敵を殺すための「兵器」として作り出したんですから)によって滅びていく人類...なんて、今のほうがリアルに感じられるかもしれません。人間だけでなく哺乳類も鳥類もこの兵器によってどんどん死んでいきます(少し前から鳥がどんどん死んでいくというニュースが出てますが、この本を読みながらそのニュースを聞くとぞっとします)。そして後に残ったのは昆虫たち。自分を捕食するものが残らず死に絶えて、昆虫だけが地球に繁栄している有様は小説ではさらりと描かれていますが、想像すると実にシュールです。そして同じ兵器として作り出された核が人類にとっての復活の道を開くと言うラスト、何とも皮肉です。

*南極にわずかに残った人間たちがそれでも子孫を増やそうとしてあがくシーンもあるんですが、これはどうなんでしょうね...自分がそういう立場に追い込まれないとどう振舞うかは分かりませんが、ちょっと勘弁して欲しいと言うのが正直なところです。

*この小説を映画化したのが草刈正雄主演の「復活の日」です。こちらもなかなか良いと思います。

復活の日 DTSプレミアムBOX
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November 05, 2004


ロッド・テイラー

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
2004-07-07
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新聞社社長令嬢のメラニーはたまたま知り合ったミッチに会うためサンフランシスコ近郊の村を訪れるが、乗ったボートで一羽のカモメに襲われる。それが恐怖の始まりだった。翌日、カモメ、カラスなどあらゆる鳥の大群が人間に襲い掛かってきた...

ヒッチコック監督の恐怖映画です。この映画、やたらに残虐なシーンが満載というわけでもなく(ないとは言いませんが)、スプラッタな描写や絶叫があるわけでもないのですが、やはり怖い。この怖さは昨日まで自分にとって当たり前だった風景がいきなり自分に向けて、何の理由もなく牙をむいて襲いかかってきたことにあると思うのです。最近のアニマルパニックものだと「遺伝子組み換えされた○○が...」とか、少し前なら「工場からの排水で突然変異した××が...」とか、動物たちが人間に襲い掛かってくる理由がなにかしら説明されていたのですが、この映画では説明は一切なし。なぜカラスやムクドリが群れをなして人間に襲いかかってきたのか、誰にも分かりません。理由が全く分からないところが恐怖をかきたてます。例えば昨日まであなたが投げるパンくず目当てにベランダまで遊びに来たスズメが、今朝になって突然にあなたに襲いかかってきたら...

*特典映像を観ると、実はラストにはもっと救いのないエンディングが絵コンテ段階で考えられていたそうですが、そのエンディングが加わっていたらさらに怖さアップだったかも(今のエンディングはちょっと尻切れトンボのような感じを受けましたから)。

*平和な日常にある日突然襲いかかる悪夢...という点ではスティーブン・キングの「霧」(「スケルトン・クルー」に収録されています)を思い出します。悪夢もキングらしく味付けされてますが、こちらもお勧めです。こちらはかすかな(本当にかすかな)希望を持たせるエンディングとなっています。
スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員
スケルトン・クルー〈1〉骸骨乗組員

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November 03, 2004

アラビアンナイトを楽しむために

アラビアンナイトを楽しむために
阿刀田 高

新潮社
1986-12
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アラビアンナイト(千夜一夜物語)と言うとシンドバッドの冒険とかアラジンと魔法のランプとか、アリババと40人の盗賊とかが有名ですが、そのアラビアンナイトを阿刀田高氏流に味付けした解説本です。そもそもの発端からしてかなりシニカルで、妃に浮気をされたおかげで女性不信となった王様が夜毎に処女を夜伽に召しては翌朝殺すことを繰り返していたんですが、大臣の娘が王の行いを止めさせるために寝所に赴き、奇妙で面白い話を千一夜続けてついに王を改心させた...のだそうです。寝所で夜明けまで話すくらいですから当然寝物語でしょうし、そのせいもあってかエロチックな話が多いようです。読んでいてちょっと面白かったのはアラブの美女の形容です。いくつも言葉を連ねてものすごい美女だとたたえているらしいことまでは分かるんですが、その形容の仕方が日本式とは全く違います(正直に言うと、読んでいてもどうしてこれで美女と言えるのかまったくピンとこなかった)。もちろんエロチックな話だけではなくて人生を考えさせられるようなエピソードもあります。千夜一夜物語に興味のある方にはお勧めです。

*解説本ではなくて原点を読みたいと言う方にはバートン版千夜一夜物語がお勧めです。こちらになるとエロチック度がパワーアップかも(笑)。

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November 02, 2004

世界大戦争

世界大戦争
円谷英二

東宝
2004-12-23
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第2次世界大戦が終結して平和が戻ったのもつかの間、世界は再び戦争への道を突き進んでいた。潜水艦戦、地上戦...一触即発の危機を何度か切り抜け、平和への祈りが高まるのも空しく第三次世界大戦が始まってしまう。そして核ミサイルはささやかな幸福を夢見るタクシー運転手一家をも飲み込もうとしていた...。

何度もあわや第三次世界大戦か!というぎりぎりのところで切り抜けてきた人類。それだけの知恵がありながら結局は核ミサイルによって自滅していく愚かさ。そして破滅に向かう人類とは対照的に、東京でその日その日を必死に生きていくタクシー運転手(演じるのはフランキー堺。さすがの名演です)の一家。娘の婚約も決まり、後は残る子供たちを学校にやって病気の妻のために環境の良い所に家を買うのが彼のささやかな夢でした。その夢も全てが核ミサイルによって押しつぶされてしまいます。一家の娘と婚約者(調査船に乗って外洋に出ていました)との最後のモールス通信はあまりにも哀しい。そしてラスト近く、地獄と化した東京に、ここがかつて日本と呼ばれていた証拠のように残る半ば崩れかけた国会議事堂。戻れば自分たちも放射能におかされることが分かっていてふるさとの日本に戻ろうとする調査船のクルーたち。この映画にはどこにも救いがありません。ただひたすらに戦争の愚かしさを訴えて終わります。

*核戦争が起きると分かって逃げ惑う群衆の中で、遂に娘の元へと戻れなかった母親のエピソードが出てきます(これもやりきれない)。このシーンを見ていて、新井素子氏によるSF(サイエンス・フィクションと言うよりはサイコ・フィクションと呼びたい)「ひとめあなたに…」を思い出しました。こちらも別の意味で怖く、やりきれない作品です。

*この「世界大戦争」のほかにも東宝ではスペクタクルパニック映画をいくつか出してますが、その中では「日本沈没」と「妖星ゴラス」がお勧めです。
妖星ゴラス
妖星ゴラス

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