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April 30, 2005

カッコウはコンピュータに卵を産む

カッコウはコンピュータに卵を産む〈上〉
池 央耿 クリフォード・ストール

草思社 1991-09
売り上げランキング : 129,877

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カッコウはコンピュータに卵を産む〈下〉
池 央耿 クリフォード・ストール

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天文学の研究者である主人公は研究所のシステム管理者を担当することになる。軽い気持ちで調べてみたところ、ごくわずかな額だが使用料金が計算と合わない。主人公は調査を開始するが...。

計算と合わない額は日本円にすればせいぜい100円程度。そこまでするかという声もありますが、ともかく主人公は調査を進めることにします。そこで浮かび上がってきたのは正体不明のユーザーでした(そういえば、昔は端末を使った時間に応じて料金を取られてましたね。今は定額制で使い放題が多数派ですが)。しかもこのユーザー、研究所のシステムを踏み台にして政府のシステムに侵入していたらしいのです。FBIに訴えても動こうとしない(当時ではハッカーの存在そのものが想像を絶していたのでしょう)。ハッカーと主人公たちとのコンピュータをはさんだ静かな戦いが続きます。システムに侵入とか、侵入したシステムを踏み台にしてさらに他のシステムに侵入して情報を盗むとか、この本が書かれた当時よりも今の方がより身近になってますね~。派手なアクションも銃撃戦も無し、ひたすらキーボードを叩く静かな戦いが続きますが、コンピュータのセキュリティに興味のある方には楽しめると思います。

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April 25, 2005

七人の侍

七人の侍
三船敏郎 志村喬 稲葉義男 宮口精二

東宝 2002-10-25
売り上げランキング : 659

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戦国時代の日本。野盗から村を守るため、農民たちは七人の侍を雇う。七人の侍は野盗を迎え撃つが...。

いかにも個性的な七人の侍たち。クライマックスの合戦シーンの凄まじさ。個人対個人ではなく、集団対集団の戦いは観ていてワクワクします(しかも、片方は少数で圧倒的不利。おまけに戦闘にはお荷物でしかない農民あり。この不利をどうひっくり返すかもみものです)。侍たちのリーダー役の志村喬氏の演技もさすがです。その一方で出来るだけ安く侍たちを雇おうとしたり、食い物が無いとか言いながらしっかり米を隠してあったりする農民のしぶとさ。そして、農民を捨てて侍になろうとしながらなりきれずにどっちつかずになってしまう菊千代(あの顔で「菊千代」はやっぱり笑ってしまいますな)。ラストのせりふも効いてます。長尺の映画ですが、その長さを感じさせません。

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April 24, 2005

宇宙からの帰還

宇宙からの帰還
立花 隆

中央公論新社 1985-07
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この本は、NASAの宇宙飛行士たちに宇宙から帰還した後で精神的にどのような変化がおきたのかを著者がインタビューしてまとめた本です。インタビューされる側の宇宙飛行士たちはNASAの宇宙開発計画の初期にかかわった人たちばかりなので軍人(テストパイロット出身者など)が多く、また、ほとんど全てが技術系の人々でした(なかには「詩人の魂を持つ」と評された人もいたようですが、例外中の例外だったようです)。宇宙から帰還した後で宇宙飛行士たちはNASAからデブリーフィングを受けますが、それも技術的な内容だけで精神的に何が起きたかについては調査はされていなかったようです。この本では宇宙飛行士たちが遂行したミッションと地球に帰還してからのかれらの進路についても簡単に触れていますが、精神的にどのようなインパクトを受けたのかに主眼が置かれています。面白かったのは、大抵の宇宙飛行士は何かしらの影響を受けたと答えているのに(ただし、影響を受けたからといって全ての宇宙飛行士が宗教に走ったわけではないと言うのも興味深いところです)、全く影響を受けなかったと答えている宇宙飛行士もいたと言う点です。稀有の体験をしたからといってその体験が影響を与えるかどうかは個々人の個性によるのでしょう。日本の宇宙飛行士たちに同じ事を聞いてみたい気がします。

*この作品でインタビューを受けた宇宙飛行士は技術系ですが、同じ著者が後に宇宙に飛んだジャーナリスト(当時)、秋山氏にデブリーフィングを行った結果をまとめたのが「宇宙よ」です。軍人とジャーナリストで感じ方がどう違うかを読み比べてみるのも面白いかも。

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April 23, 2005

仮面の男

仮面の男
レオナルド・ディカプリオ ランダル・ウォレス ジェレミー・アイアンズ ジョン・マルコビッチ

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-02-18
売り上げランキング : 1,954

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17世紀フランス。国民は暴君ルイ14世に苦しめられていた。今は引退してそれぞれの道を歩んでいる三銃士たちは、バスティーユ牢獄に幽閉されている「仮面の男」とルイ14世をすりかえるべくひそかに動き始めるが...。

有名な「鉄仮面の男」のエピソード(ルイ14世に捕らえられ、鉄の仮面をかぶせられたまま投獄されていたそうです。しかも獄中でも扱いは非常に良かったらしい)とこれまた有名な「三銃士」を登場させた作品です。ただしこの作品ではダルタニアンは三銃士と袂を分かち、ルイ14世を守るべく奔走する側に回ります。レオナルド・ディカブリオの二役も公開当時話題になりましたが(ファンの方は怒るかもしれませんが、意外に暴君ともう1人との演じ分けがうまくて驚きました)、むしろダルタニアンと三銃士の演技が印象に残ります。暴君と分かっていながらも(実はもう一つ理由があったのですが)ルイ14世を守るべく動くダルタニアン。(私情も一部入っているようですが)フランスの将来を考え、ルイ14世と仮面の男のすり替えに動く三銃士。それぞれの立場の苦悩も時にはユーモラスに描かれます。クライマックスで銃の一斉射撃もものともせず突撃を敢行するシーンはカッコイイです。ヨーロッパの歴史ものに興味のある方は楽しめると思います。

*アレクサンドル・デュマ原作「三銃士」もお勧めです。

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April 22, 2005

夜来たる

*「夜来たる」は同名の短編集「夜来たる」に収録されています。
夜来たる
アイザック アシモフ 美濃 透

早川書房 1986-11
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六つの太陽に囲まれた惑星ラガッシュ。この星は2050年ごとにやってくる日食を迎えようとしていた。日食のとき、文明に何が起こるのか?

惑星ラガッシュにかつて栄えた文明がなぜか「周期的に」滅びていたという事実(しかも、文明の中心部が火によって焼き尽くされていました)。そして2050年ごとにやってくると言う日食との不気味な暗合。天文学者、カルト教信者、そして新聞記者たちはそれぞれの立場から恐怖をもって日食のときを迎えます。そして迎えた日食。生まれてからずっと真の暗闇を体験したことがない人たちだったらきっとこんな風に反応するんでしょうね(皆既日食のときの映像を見たことがありますが、太陽が全て隠されたときに牛が不安そうに鳴き出すシーンを思い出しました)。最初にこの作品を読んだのはずいぶん前ですが、この作品のアイデアには思わずうなった覚えがあります。考え付きそうでなかなか考え付かないでしょう。

*この短編集に収録されている「緑の斑点」もお勧めです。

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April 18, 2005

ヤング・シャーロック ピラミッドの謎

ヤング・シャーロック ピラミッドの謎
ニコラス・ロウ バリー・レビンソン アラン・コックス クリス・コロンバス

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2005-03-25
売り上げランキング : 1,169

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19世紀のロンドン。ワトソン少年は名門の寄宿校に入学し、ホームズと知り合いになる。折から奇怪な殺人事件が次々と発生し...。

名探偵シャーロック・ホームズとワトソン医師のコンビは世界的に有名ですが、その二人の少年時代はどうだったのか?を描いたのがこの作品です。次々に起こる殺人事件。被害者は全て奇怪な幻覚にとらわれていたようでした。ホームズはワトソン、そしてガールフレンド(!)のエリザベスと共に事件の謎に挑みます。被害者たちが幻覚にとらわれるところでステンドグラスから騎士が飛び出してきたり、彫像の(多分)ガーゴイルが動き出して被害者に飛びかかって来たりするシーンはつい見入ってしまいます。ホームズとワトソンが自転車付きグライダーに乗って空を飛ぶところもなんとなくE.T.のシーンを連想させて楽しいです。ワトソン少年はお菓子大好きで(生クリームをくっつけられる悪夢のシーンが笑えます)、ホームズ少年はこの頃から天才的な推理力を持ってますがちょっと生意気というように、ホームズとワトソンの少年時代はこんな風だったのかもしれないと想像すると面白いです。そうそう、ラストはホームズファンにはお楽しみです。

*ホームズのトレードマークである帽子とパイプにまつわるエピソードもこの作品で出てきます。パイプはやはりホームズに欠かせませんね。

*本家シャーロック・ホームズのイメージに最も近いのではないかと思うのがジェレミー・ブレット氏演じるイギリスのTVシリーズのホームズですが、こちらもDVDが出ています。

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April 17, 2005

妖説太閤記

妖説太閤記〈上〉
山田 風太郎

講談社 2003-11
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妖説太閤記〈下〉
山田 風太郎

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戦国時代の日本。木下籐吉郎(後の豊臣秀吉)は織田信長の家臣となり、出世街道を驀進する。本能寺の変の後は織田信長の後継者として天下を掌握。その原動力となったものは...。

織田信長の妹・お市の方に惹かれ、信長の家臣となる主人公。ひたすら出世街道を驀進しますが、その原動力はお市の方への思いでした。「思い」というほど生易しいものではなく、妄執に近かったようですが。もちろん出世の方も怠りなく、将来自分の大敵になりそうな徳川家康を死ぬ危険の高い戦に誘ってどさくさ紛れに殺そうと図ったり、家康の息子の謀反の噂をまいて家康が信長にそむくように仕組んだりと権謀術数の限りを尽くしています(それでも家康は秀吉の狙いを全て外して、死ぬことも信長にそむくこともなかったのですから家康もしたたかですな~)。そして、信長からお市の方が柴田勝家に嫁ぐと知らされたとき、秀吉は一世一代の大勝負を決意します。秀吉の前では明智光秀など自分の思うままに動かせる駒でしかなかったのでしょう。ところが、大勝負に勝ち、天下を手に入れ、お市の方は手に入れられなくてもその娘(お茶々)を手に入れたときに秀吉の中で何かが狂ってきたのではないかと思うのです。望むものを手に入れ、自分の周囲は全て2つに分けて争わせた上で均衡を保ってきたのが、その手が使えなくなってしまったらどうなるのか。晩年の秀吉はまるで人間が入れ替わってしまったかのようです。山田風太郎氏の作品としては驚愕淫靡陰惨な忍術はほとんど出てきませんが、実際の秀吉はこんな人だったのではないかと思わせる迫力のある作品です。

*秀吉の手に入れた女性はほとんど全て自分より身分が上の美少女ばかり(妻のおねにしても結婚した当初は秀吉より身分が上の少女でした)。ロリコン趣味だったんでしょうかね...。

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April 16, 2005

ロード・トゥ・パーディション

ロード・トゥ・パーディション<特別編>
トム・ハンクス マックス・アラン・コリンズ リチャード・ピアース・レイナー サム・メンデス

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-03-16
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1930年代のアメリカ。マイクは街を牛耳るボス、ルーニーに息子同様に育てられるがルーニーには不肖の息子コナーがいた。マイクの長男が偶然コナーが人を殺すところを目撃してしまい、コナーは口封じをするつもりが誤ってマイクの妻と次男を殺してしまう。マイクは長男を連れて逃亡し、復讐の機会をうかがうが...。

ルーニーに息子同様に育てられたマイク(実の息子が出来が悪かったので、マイクへ向ける愛情もひとしおだったのでしょう)。しかしお互いに自分の息子を守るために対立せざるを得ない羽目に追い込まれます。ルーニーはボスとして組織を挙げてマイクを追い、マイクは息子を連れて途中で銀行強盗などして資金を稼ぎながらルーニーと対立します。かつては実の親子同様だったというのに。そして組織の追及の手をかいくぐり、マイクとルーニーは対峙することになるのです。このシーン、土砂降りの雨の中で最後の対決が行われるのですが、ひどく印象的でした。実の親子同様だったルーニーとマイクの対立、逃亡生活を続けるうちに心が通い合っていくマイクと長男、必死で息子を守ろうとしながらも息子には自分の気持ちが全く伝わらないルーニー(コナーの方は親父が死ねば俺がボスだくらいの認識しかなかったのです)。それぞれの父と息子の姿が描かれていきます。既に父親になっている人には印象に残る映画かも。

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April 15, 2005

となりの億万長者―成功を生む7つの法則

となりの億万長者―成功を生む7つの法則
トマス・J. スタンリー ウィリアム・D. ダンコ Thomas J. Stanley William D. Danko

早川書房 1997-09
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この本は、著者たちがアメリカの億万長者を対象としてどういう人が億万長者になるのか、億万長者に共通する傾向はなんなのかを調査した本です。億万長者というと豪邸に住み、贅沢な暮らしをして金を湯水のように使う...というイメージを持っていましたが、この本を読むとどうも実際のイメージは全く違うようなのです。この本に出てくる金持ちたちは質素な暮らしをし(なので当然収入以下の金額で生活しています)、普通のお金持ちではない人々と同じレベルの暮らしをしています。若いうちからせっせと仕事に励み、社会的ステータスはそれほど高くないが着々と資産を増やしてきたという人たちが多いようなのです。親から受け継いだ資産で暮らしている人が多いのかと思えば実際には早くから独立して親を当てにせずに成功した人が多いというのも意外でした。アメリカというと金持ちが多いというイメージを持っていたのですが、それも1代限りのことで、代々金持ちでいるのは難しいことなのかもしれません。金持ちの子供たちの多くが親とは違って専門職に就くことが多いというのもまた意外でした(ただ、専門職に就くためには時間がかかるし、専門職に就くまでに収入以上に使ってしまうライフスタイルを身につけることが多いらしいので、独立するのはともかくとして金持ちの子供たちが独力で金持ちになるのは難しいのかも)。収入以上に使っていれば金はたまらない、贅沢なライフスタイルと資産は両立しないという当たり前のことを痛感させられる本です。

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April 11, 2005

ルパン三世 ルパン vs 複製人間

ルパン三世 ルパン vs 複製人間
モンキー・パンチ 吉川惣司 山田康雄 増山江威子

東宝 2003-10-24
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長い年月を自らの複製を作ることによって生き続け、人間の歴史に介入してきたマモー。ルパン3世は賢者の石を盗んだことからマモーと渡り合うことになり...。

ルパン3世シリーズの映画ではモンキー・パンチ氏の原作の雰囲気に最も近いのではないかと思う作品です。お色気ありアクションあり(ルパンが不二子の胸を「ポチっとな」したタイミングでマモーが爆発するシーンには笑ってしまいました)、ハードボイルドかと思えば(次元がアメリカの高官に向かって啖呵を切るシーンはカッコイイ!)直後にずっこけシーンが入る。非常にドライでクールかと思えば男同士の腐れ縁も描かれます。敵役のマモーの存在感もイイですね。見た目は父っちゃん坊やにしか見えないんですが、本体がアレだとは(まるでウルトラQに出てくるバルンガですな~。ブルトンじゃなくてね)。一筋縄ではいかない、ひと癖もふた癖もあるルパン一家を相手に回すのにふさわしいです。炎に包まれてそれでも不二子の方ににじりよっていくシーンは結構怖いものがあります。清廉潔白単純熱烈でもなく、小洒落た雰囲気を楽しむわけでもなく、ルパンの乾いた格好よさを楽しめる作品です。

*ルパン3世のTVシリーズでいうと、1971年に放映されたシリーズがイイです(ルパンが緑のスーツを着てる奴ね)。
LUPIN THE THIRD first tv. DVD-BOX
山田康雄 小林清志 大塚周夫 二階堂有希子

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*ルパン3世ってかなり前ですが実写の映画にもなってました。ただし本当に珍作なので、観ようとする人はそれなりの覚悟が必要かも。
ルパン三世 念力珍作戦
モンキー・パンチ モンキー・パンチ 坪島孝 江崎英子

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April 10, 2005

流星―お市の方

流星―お市の方 (上)
永井 路子

文芸春秋 2005-03
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流星―お市の方 (下)
永井 路子

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戦国時代。織田信長の妹・お市は兄の戦略に従い浅井長政のもとに嫁ぐ。しかし織田家と浅井家が対立するようになり...。

戦国時代の政略結婚の代表みたいに言われているのではないかと思う織田信長の妹・お市の生涯を描いた作品です(この人の肖像画と言われている絵も残っていますが、これを見ると美人ですね~)。政略結婚というと自分の意思に反して結婚したくもない相手のところに泣く泣く嫁いでいく...というイメージがあるのですが、この作品を読むとむしろ家の一員として使命感を持って相手の家に嫁いでいったという面もあったのではないかと思えてきます。ただの結婚ではなく、外交官として相手の家に乗り込んでいくという感じでしょうか。だから実家と婚家との間の橋渡し役にもなるし、もし実家と婚家が決裂した場合でもいきなり殺されたりはせずに実家に戻されたり、そのまま婚家にとどまったりしています。実家と婚家を国家に、女性を外交官に置き換えると現代でも通じるところがあると思います。主人公の場合にはたまたま兄が織田信長だったこともあって短くも鮮烈な生涯を駆け抜けるのですが、この作品に登場するほかの女性たち(例えば織田信長の妻など)にしても与えられた状況なりに自分の意思で生きていったという気がしてなりません。

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April 09, 2005

地球防衛軍

地球防衛軍
佐原健二 白川由美 平田昭彦 河内桃子

東宝 2001-06-21
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自らの惑星を核戦争で失い、移住先として地球に狙いを定めた異星人・ミステリアン。人類は地球防衛軍を組織し、ミステリアンに対抗するが...。

地球を第二の故郷とするため富士山麓を占領し、地球人の女性まで要求してくるミステリアン(ミステリアンの女性は戦争で死に絶えたのか?)。ロボット怪獣モゲラを駆使し、人類に要求を突きつけてきます。対する人類の切り札がマーカライトファープ(「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」に出てくるメーサー殺獣光線砲を大型にしたような奴ですな)とアルファ号・ベータ号でした。大地を踏み潰しながら迫るモゲラ、ミステリアンの居住ドームにマーカライトファープから発せられた光線の炸裂(しかもミステリアンの反撃によってマーカライトファープが1基また1基と使えなくなり、ハラハラさせるところもうまいです)!画面狭しと超兵器が大活躍するんですが、よく考えると勝負を決したのは兵器ではなかったりします(ではどうやって人類がミステリアンを撃退したのかは映画を観てのお楽しみ)。それでも超科学兵器の大活躍を楽しめる空想科学映画です。

*ところでミステリアンは地球人の女性を要求したところから見ると野郎だらけなのだろうと思いますが、異星人の設定をそっくりひっくり返したのが「怪獣総進撃」に出てくるキラアク星人です。もっともキラアク星人は地球の男を要求はしなかったようですが。
怪獣総進撃
久保明 本多猪四郎 小林夕岐子 愛京子

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April 08, 2005

宇宙の孤児

宇宙の孤児
ロバート A.ハインライン 矢野 徹

早川書房 1978-02
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人々がいくつかの階級に分かれて生活し、「船長」が階級の頂点で全てを支配する世界。「科学者」候補となったヒュウ・ホイランドは「ミューティ」に捕らえられ、奴隷にされるが...。

奴隷にされた主人公ですが、そこで「ミューティ」(突然変異)のボスから意外な真実を知らされます。それは彼にとっては想像もつかない、今まで自分の信じてきたものが全てひっくり返ってしまう事実でした。ある程度まで成長してから、生まれて初めて星を見せられたら人は同じ反応をするのかもしれません(生まれてからずっと雪を見たことのない人に雪が降るシーンを見せたら大爆笑したって言うエピソードを思い出しました)。この作品では生まれて初めて星を見るだけでは済まず、自分が信じていた世界が実は巨大な宇宙船の内部で、過去の知識を失ったまま機械に導かれて星を旅していた事実を知る羽目になります。主人公は自分が知った驚愕の事実を「船長」以下支配階級に知らせるべく元いた社会に戻ります。それが長く続いた社会をゆるがし、そして...。後は読んでのお楽しみですが、SF風味で少年の成長を描いた作品と見ると楽しめると思います。

*「科学者」候補となった主人公が「現代基礎物理」(この作品では聖典の一つとなっています)の内容について議論するくだりがあるんですが、引力の法則のことを「愛情を説明するのに使った詩的な言い回しだ」と言っているあたりには笑いました。

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April 04, 2005

史上最大の作戦

史上最大の作戦 アルティメット・エディション
ジョン・ウェイン ケン・アナキン ベルンハルト・ヴィッキ アンドリュー・マートン

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2004-05-28
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第2次世界大戦末期。アイゼンハワー率いる連合軍はフランス・ノルマンディーへの上陸作戦遂行を決定した。不意を衝かれるが猛反撃に出るナチス・ドイツ。第2次世界大戦の勝敗を決する「一番長い日」が始まった...。

第2次世界大戦でターニングポイントとなったノルマンディー上陸作戦(作戦決行の日は"D-Day"と呼ばれました)。どちらが正義でどちらが悪と言うこともない。ただ攻める側と守る側の命を賭けたエピソードがつづられていきます。印象に残るエピソードはいくつもありますが、まずはパラシュートで敵地に降下するも誤って井戸に落ちたり、木に引っかかったりする連合軍兵士(その後の運命は...大体想像つきますね)。最悪なのは教会の塔に引っかかってしまった兵士でした。彼は身動きもとれず、一晩中教会の鐘の音を聞き続ける羽目に陥ります。この他にもノルマンディーで見張りのドイツ軍兵士が双眼鏡をのぞくと水平線を埋め尽くす連合軍の艦船!間を置かずにふりそそぐ強烈な艦砲射撃。そしてノルマンディーに到着するや次々に兵士を吐き出す上陸用舟艇。もちろんドイツ側も反撃してきますからほとんど狙い撃ち状態で次々に倒れていく兵士たち。ドイツ軍の陣地に爆弾を投げ込むべく接近しては次々に倒れていく兵士たちもいました。五体が吹き飛ばされたりと言うような具体的な描写はないんですが、戦争の苛烈さを描くにはこれで十分でしょう。ただ戦闘シーンを描くだけでなく、ところどころに挿入されたユーモラスなシーンがアクセントになっていると思います(観ていて面白かったのは、アイルランドあたりの軍がバグパイプ奏者を先頭に立てながら進軍するシーンです。突撃のときはちゃんと曲が変わってるんですね~)。かなり長い映画ですが、音楽の良さもあって飽きさせません。

*ところでこの映画はモノクロなんですが、以前にカラー版を見たような記憶が...。他の映画と混同してるんでしょうか(でも、確かにバグパイプやパラシュートのシーンはカラーで観た覚えがあり)。

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April 03, 2005

蝶の戦記

蝶の戦記〈上〉
池波 正太郎

文芸春秋 2001-12
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蝶の戦記〈下〉
池波 正太郎

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戦国時代。上杉謙信のために働く女忍び・お蝶。彼女は川中島の合戦、姉川の合戦のかげで忍びとして戦い続ける...。

池波正太郎氏による戦国期の忍びを描いた小説です(氏の一連の戦国期の忍びたちを描いた小説は登場人物が重なり合ってますが、歴史上の時間軸で言うとこの作品が最初に来ると思います)。上杉謙信に心酔した主人公は川中島の合戦では武田信玄の命を狙い、姉川の合戦では織田信長の命を狙います。忍びと言っても相手の屋敷に潜入して諜報活動を行うだけでなく、戦場に赴いて敵方の大将の命を狙うこともあったようですね(池波正太郎氏の小説では「戦忍び」という言葉で表現されています)。活動の仕方も戦場に武器を携えて敵方の対象を待ち伏せるとか、女忍びの武器を生かして相手の男を篭絡し、男のつてで屋敷に侍女として潜入するなど多彩だったようです(もっとも主人公の場合は篭絡する相手の男は趣味で選んでいたし、任務が終わっても思い出したように相手と付き合ったりしていたようですから趣味と実益を兼ねていたのかもしれません)。SFXまがいの忍術は全く出てきませんが、戦国期の忍びたちの活躍をリアルに感じられる作品です。歴史ものと忍者の両方に興味のある方にお勧めです。

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April 02, 2005

紅の豚

紅の豚
森山周一郎 岡村明美 加藤登紀子 大塚明夫

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2002-03-29
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1920年代のイタリア。自分に魔法をかけて豚となった男ボルコ・ロッソはアドリア海で空賊相手に賞金稼ぎを続けていた。煮え湯を飲まされ続けた空賊は助っ人としてアメリカからカーチスを呼び寄せる...。

今は酒場の歌手となった、かつての親友の恋人。過去の写真から消された顔。映画の中の1シーンから考えると、恐らくは戦争が与えた心の傷のために主人公は戦闘機乗りをやめたのでしょう。しかし、空への思いは断ち切れなかったため自分に魔法をかけて顔を隠し、賞金稼ぎとして生きることにしたのではないか...など、語られなかった部分でいろいろと想像が膨らむ作品です。加藤登紀子氏の歌もイイです。ストーリーだけでなく、空戦シーンやボルコとカーチスの一騎打ちのシーンも迫力モノです。過去を背負いながら、どこか間抜けなところや子供っぽさも残す男たち。お子様が観ても多分面白くないと思いますが、ある程度年のいった方々にお勧めの作品です。

*主人公の本当の顔って、回想シーンでチラッと出てきますね。

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April 01, 2005

補陀落渡海記

*「補陀落渡海記」は「楼蘭」に収録されています。

楼蘭
井上 靖

新潮社 1968-01
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熊野の浜にある寺の住職・金光坊は61才を迎え、先任の住職たちと同様に渡海を周囲から期待される。金光坊の思いをよそに渡海の準備が進められるが...。

渡海と言うとまるで海外旅行でもするようですが、意味は大違いで実際には西方浄土にあるという補陀落めざして小船に乗って1人海に出るだけ(つまり、海に出ればほぼ間違いなく波に飲まれて海の藻屑となることが出来るわけで、浄土に生まれ変わることを願って自殺の旅に出るようなものです)。しかも、先任者たちと違って主人公には渡海したいという個人的な理由が全くありませんでした。たまたま先任の住職たち3人が連続して61歳で渡海したため、主人公も61歳で渡海することを期待されてしまったのです。主人公は渡海することを自分に納得させるために読経したり先任者たちの心中を推し量ったりするのですが、努力も空しくどうしても納得できないまま渡海のときを迎えてしまうのでした。主人公は前例に従い渡海を挙行するのですが...。逃げ出すわけにもいかない、抗議の声も上げられない、それでいて自分で納得も出来ない状況(しかも失われるのは自分の命!)に追い込まれたときに自分ならどうするか考え込んでしまいました(恥も外聞もなく悲鳴を上げて逃げ出すかも)。

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