April 16, 2005

ロード・トゥ・パーディション

ロード・トゥ・パーディション<特別編>
トム・ハンクス マックス・アラン・コリンズ リチャード・ピアース・レイナー サム・メンデス

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-03-16
売り上げランキング : 4,598

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


1930年代のアメリカ。マイクは街を牛耳るボス、ルーニーに息子同様に育てられるがルーニーには不肖の息子コナーがいた。マイクの長男が偶然コナーが人を殺すところを目撃してしまい、コナーは口封じをするつもりが誤ってマイクの妻と次男を殺してしまう。マイクは長男を連れて逃亡し、復讐の機会をうかがうが...。

ルーニーに息子同様に育てられたマイク(実の息子が出来が悪かったので、マイクへ向ける愛情もひとしおだったのでしょう)。しかしお互いに自分の息子を守るために対立せざるを得ない羽目に追い込まれます。ルーニーはボスとして組織を挙げてマイクを追い、マイクは息子を連れて途中で銀行強盗などして資金を稼ぎながらルーニーと対立します。かつては実の親子同様だったというのに。そして組織の追及の手をかいくぐり、マイクとルーニーは対峙することになるのです。このシーン、土砂降りの雨の中で最後の対決が行われるのですが、ひどく印象的でした。実の親子同様だったルーニーとマイクの対立、逃亡生活を続けるうちに心が通い合っていくマイクと長男、必死で息子を守ろうとしながらも息子には自分の気持ちが全く伝わらないルーニー(コナーの方は親父が死ねば俺がボスだくらいの認識しかなかったのです)。それぞれの父と息子の姿が描かれていきます。既に父親になっている人には印象に残る映画かも。

| | Comments (2) | TrackBack (5)

April 11, 2005

ルパン三世 ルパン vs 複製人間

ルパン三世 ルパン vs 複製人間
モンキー・パンチ 吉川惣司 山田康雄 増山江威子

東宝 2003-10-24
売り上げランキング : 5,148

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


長い年月を自らの複製を作ることによって生き続け、人間の歴史に介入してきたマモー。ルパン3世は賢者の石を盗んだことからマモーと渡り合うことになり...。

ルパン3世シリーズの映画ではモンキー・パンチ氏の原作の雰囲気に最も近いのではないかと思う作品です。お色気ありアクションあり(ルパンが不二子の胸を「ポチっとな」したタイミングでマモーが爆発するシーンには笑ってしまいました)、ハードボイルドかと思えば(次元がアメリカの高官に向かって啖呵を切るシーンはカッコイイ!)直後にずっこけシーンが入る。非常にドライでクールかと思えば男同士の腐れ縁も描かれます。敵役のマモーの存在感もイイですね。見た目は父っちゃん坊やにしか見えないんですが、本体がアレだとは(まるでウルトラQに出てくるバルンガですな~。ブルトンじゃなくてね)。一筋縄ではいかない、ひと癖もふた癖もあるルパン一家を相手に回すのにふさわしいです。炎に包まれてそれでも不二子の方ににじりよっていくシーンは結構怖いものがあります。清廉潔白単純熱烈でもなく、小洒落た雰囲気を楽しむわけでもなく、ルパンの乾いた格好よさを楽しめる作品です。

*ルパン3世のTVシリーズでいうと、1971年に放映されたシリーズがイイです(ルパンが緑のスーツを着てる奴ね)。
LUPIN THE THIRD first tv. DVD-BOX
山田康雄 小林清志 大塚周夫 二階堂有希子

by G-Tools


*ルパン3世ってかなり前ですが実写の映画にもなってました。ただし本当に珍作なので、観ようとする人はそれなりの覚悟が必要かも。
ルパン三世 念力珍作戦
モンキー・パンチ モンキー・パンチ 坪島孝 江崎英子

by G-Tools

| | Comments (4) | TrackBack (7)

April 10, 2005

流星―お市の方

流星―お市の方 (上)
永井 路子

文芸春秋 2005-03
売り上げランキング : 33,783

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

流星―お市の方 (下)
永井 路子

by G-Tools


戦国時代。織田信長の妹・お市は兄の戦略に従い浅井長政のもとに嫁ぐ。しかし織田家と浅井家が対立するようになり...。

戦国時代の政略結婚の代表みたいに言われているのではないかと思う織田信長の妹・お市の生涯を描いた作品です(この人の肖像画と言われている絵も残っていますが、これを見ると美人ですね~)。政略結婚というと自分の意思に反して結婚したくもない相手のところに泣く泣く嫁いでいく...というイメージがあるのですが、この作品を読むとむしろ家の一員として使命感を持って相手の家に嫁いでいったという面もあったのではないかと思えてきます。ただの結婚ではなく、外交官として相手の家に乗り込んでいくという感じでしょうか。だから実家と婚家との間の橋渡し役にもなるし、もし実家と婚家が決裂した場合でもいきなり殺されたりはせずに実家に戻されたり、そのまま婚家にとどまったりしています。実家と婚家を国家に、女性を外交官に置き換えると現代でも通じるところがあると思います。主人公の場合にはたまたま兄が織田信長だったこともあって短くも鮮烈な生涯を駆け抜けるのですが、この作品に登場するほかの女性たち(例えば織田信長の妻など)にしても与えられた状況なりに自分の意思で生きていったという気がしてなりません。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

March 27, 2005

塩野七生ルネサンス著作集〈2〉― ルネサンスの女たち

塩野七生ルネサンス著作集〈2〉― ルネサンスの女たち
塩野 七生

新潮社 2001-06
売り上げランキング : 50,262

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
この作品は、ルネサンス期のイタリアを生きた4人の女性の生涯を描いたものです。4人とも生き方はそれぞれなんですが、印象に残るのはルクレツィア・ボルジアとカテリーナ・スフォルツァでしょうか。二人ともチェーザレ・ボルジアと深い関わりを持っていました。ルクレツィアはチェーザレの妹で、父と兄の野望のため政略結婚をし、おまけに夫を兄に殺されると言う悲惨な目にもあいます。それでも後に兄が没落したときにはローマ法王に向けて嘆願書を書いたりと、ルクレツィアにとって兄チェーザレは愛憎半ばする存在だったのかもしれません。兄の死と共に彼女もまた歴史の表舞台から姿を消し、平凡な一生を終えていきました。

強烈なのはカテリーナの方で、敵に子供たちを人質に取られた上で篭城中の家臣を説得して開城させるよう要求されます。要求に応じたふりをして家臣の待つ城に入るんですが、入城してからは敵に向かってドレスをばっとめくり上げて「子供なんかここからいくらでも作ってみせる」と言い放ったそうです。その他にもチェーザレとの戦闘中に相手の陣地に「大砲はゆっくりと撃ちなさい。そうでないとあなた方のキン○マがちぎれてしまいますよ」と書き込んだ砲弾を撃ち込み、相手を唖然とさせたとか強烈なエピソード満載です。これでイタリア中からプリマ・ドンナとして尊敬されたそうですからルネサンス期のイタリアは何かに付けて激しい時代だったのでしょうね。イタリアに興味のある方には面白く読める本だと思います。

*チェーザレ・ボルジアの方は同じ作者が「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」を書いています。こちらもお勧めです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 20, 2005

レオン

レオン 完全版 アドバンスト・コレクターズ・エディション
ジャン・レノ リュック・ベッソン ナタリー・ポートマン ゲイリー・オールドマン

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2004-06-25
売り上げランキング : 1,560

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
悪徳刑事に家族を皆殺しにされた14歳の少女、マチルダ。隣室に住んでいた彼女を助けることになった殺し屋のレオンは次第にマチルダと心を通わせていくようになり...。

淡々と自分の仕事(殺し屋)をこなし、自分が孤独であるかどうかなど考えてもいなかったレオン。その彼がゆきがかり上からマチルダを助けることになり、少しずつ変わっていきます。家族を全て失ったどころか生き残りとして命を狙われている少女。彼女をかくまうだけでなく、復讐に手を貸すようになってレオンは殺人マシーンから感情を持った人間へと変わるのですが、それは同時にレオンにとって自滅への道をたどることでもありました(闇の世界では人間らしい感情を持っていること自体が命取りなのでしょう)。印象に残っているのはラスト、マチルダがレオンとの思い出の残った鉢植えとともにただ1人残されるシーンです。レオンとマチルダの間に通った感情は年が離れていても男女のものだったのでした。

*悪徳刑事を演じたゲイリー・オールドマン、やはりうまいです。圧倒的。

| | Comments (2) | TrackBack (4)

March 11, 2005

ラストタンゴ・イン・パリ〈オリジナル無修正版〉

ラストタンゴ・イン・パリ〈オリジナル無修正版〉
マーロン・ブランド ベルナルド・ベルトルッチ マリア・シュナイダー ジャン=ピエール・レオ

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2004-11-26
売り上げランキング : 4,949

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
妻に死なれ、人生に疲れ切った中年男。婚約者との結婚を間近に控えた若い女。二人はアパートの空き室を探すうちに偶然出会い、衝動的に体を重ねる。男はアパートに部屋を借り、女とセックスだけの生活を始めるが...。

お互いに相手の内部に立ち入るどころか名前すらも聞かず、アパートに来ればひたすらに相手の体を求める。アパートを出れば二人ともそれぞれお互いに全く接点のない自分の生活に戻る。セックス描写は今見ればそれほど過激にも見えませんが、公開された当時はおそらくセンセーショナルだったのでしょう。しかし、その場限りで終われば二度と会わないというならともかく、何度も出会いを続けて相手の内部に立ち入らないで済むのだろうか?女は婚約者との結婚が近付くにつれて日常の生活に関心が向いていき、男から遠ざかろうとし始めます。男の方は死んだ妻への感情をぶちまけたことが契機となり、逆に女との生活を考えるようになっていきます。そして迎える破局。心を通わせる方がセックスよりもよほど難しい...。

*バターのシーンは想像するだけで痛そうです...。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

January 23, 2005

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子
リチャード・ドーキンス 日高 敏隆 岸 由二 羽田 節子 垂水 雄二

紀伊国屋書店 1991-02
売り上げランキング 4,032

Amazonで詳しく見る
  by G-Tools
最初に読んだのは確か10年位前ですが、今となっては古典となりつつあるんじゃないかと思う本です。生物を遺伝子の乗り物とみなし、遺伝子のコピーを増やす(=子孫をたくさん残す)ことが生物の行動の大前提になっているというのがこの本の主張だと思います。遺伝子のコピーを増やすためには親は子供を生んだら早く育ててひとり立ちさせ(あるいは生みっぱなしにして)、次の子を産む準備をしようとするし、子供は子供で遺伝子のコピーを増やすためにはまず生き残らなければなりませんから、できるだけ長く親の世話を受けようとする。オスとメスもまた遺伝子のコピーを増やすためにしのぎをけずっている...。ところが、人間だけは大きくなった脳の存在によって例外になっているらしいのです。SEXはしても避妊して子を産む(遺伝子のコピーを増やす)ことを避けるあたり、脳が遺伝子から離れて独自の行動を取りつつあるようにも見えます。パラサイトはと言うと、遺伝子のコピーを増やすために子供が取る行動そのままだから遺伝子の要求のままに動いていると言うことになるんでしょうかね。訳がちょっと読みづらいですが、遺伝や進化に興味のある方にはお勧めの本です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 26, 2004

竜馬がゆく



江戸時代末期の土佐藩(高知)。寝小便垂れで学校にも行かず姉から教育を受けていた少年・坂本竜馬は、江戸の北辰一刀流千葉道場で剣術の修業に励むうちに幕末の世情に目を開かれていく。やがて討幕運動に身を投じ...。

幕末の動乱から大政奉還に至る期間に、まちがいなく倒幕側の立役者となっていた人がいました。その人が坂本竜馬です。家は裕福ではあったようですが、身分の高い侍と言うわけでもない(土佐藩では侍-上士-から見ると一段下の扱いとなる下士の家柄だったようです)。しかも途中で土佐藩を脱藩しますから、討幕運動に身を投じていた頃は一回の浪人でした。それでいながら幕府側の要人勝海舟に会いに行って弟子入りしたり(今で言うと日本の若者がパスポートもなしに出国して外国の大臣に会いに行くような感じでしょうか。でもそれで会ってくれるだけでなくて弟子にさえしてしまうんですから、江戸幕府も意外に大らかだったようですね)、のちには海援隊(私設の海軍みたいなものです)を組織して幕府側と戦うことになります。さらには同じ倒幕を目指していたのに当時犬猿の仲だった薩摩藩と長州藩を和解させ、同盟の音頭を取ったのもこの人でした。たった一人の人間が(金も身分も後ろ盾もないのに。しかも、30そこそこで)なぜあの時期に歴史を動かすキーパーソンとなりえたのか?こう書くとなんだかビジネス本みたいですが、竜馬の疾風怒濤の活躍ぶりを読んでいるだけでもワクワクしてくる作品です。ちょっと長めですが、20代前半くらいまでの方には特にお勧めの作品です。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

December 11, 2004

ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像

ロケット開発「失敗の条件」―技術と組織の未来像
五代 富文 中野 不二男

ベストセラーズ
2001-06
売り上げランキング 92,417

Amazonで詳しく見る
   by G-Tools
この本は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)(当時の宇宙開発事業団(NASDA))の新型ロケットH-IIAをひっさげてロケット打ち上げビジネスに参入しようとしていた2001年夏に五代富文氏(NASDAの元副理事長)と中野不二男氏(作家)が宇宙開発とそれをとりまく周囲の状況について「失敗」という観点から対談した内容をまとめた本です。

「失敗とは何か」の定義から、H-IIロケット8号機打ち上げ失敗のときに海中に沈んだエンジンの引き上げ、宇宙開発を進めるNASDAの組織論にまで話は広がっていきます。打ち上げに成功しても大して報道しないくせに失敗すると大喜びで報道するマスコミ(そういえば映画「アポロ13」でも事故が起きたと知るとマスコミがわっと飛びついてましたね)。「今度失敗したら承知せんぞ」とすごんだとかいう政治家(お前がすごんでどうする)。それにもめげず打ち上げに向けて努力を続ける関係者(打ち上げを延期したときのエピソードで、打ち上げ前に最高責任者が担当者に一人一人声をかけていったらある担当者の返事がどうもおかしい、いつもとちがうというので打ち上げを延期したというのは印象に残りました)。海中から引き上げられたエンジンを徹底的に調査して得られたたくさんの知見(宇宙ものって失敗するとたいていは回収できないから、これは本当にラッキーな例だったと思います)。宇宙開発はロケットでも衛星でも本当に一品モノでしかも一発勝負、その上リカバリーをかけるには長い時間がかかるということがよく分かる本です。

*最近になってH-IIAロケットの打ち上げ再開にようやくゴーサインが出ました。打ち上げに関わる人たちはこれからが正念場だと思いますが、あまり緊張せずリラックスしていって下さい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

October 10, 2004

ザ・ロック

ザ・ロック 特別版

発売日 2004/04/23
売り上げランキング 1,095


Amazonで詳しく見るB0001LNNTS
神経性毒ガスを奪ったテロリストたちがアルカトラズ島を占拠!要求を飲まなければ500万人の観光客が毒ガスにさらされる。この非常事態に、FBIは化学兵器のスペシャリスト(演じるのはニコラス・ケイジ)とかつてアルカトラズ島に幽閉されていた男(演ずるのはショーン・コネリー)を送り込む。タイムリミットは40時間。間に合うか?

ニコラス・ケイジとショーン・コネリーのコンビが面白いです。ニコラス・ケイジが演じるのは化学兵器の取り扱いにかけてはプロだが肉弾戦は全く駄目のどこかへなちょこ雰囲気を発散する役どころ(毒ガスを扱う場面なんて、彼が取り扱いのプロだという設定なんですが実にはらはらさせられました(笑))、そしてショーン・コネリー御大が演じるのはアメリカの秘密を知ってしまったためにアルカトラズ島に幽閉されていた英国秘密情報部員(このあたり、聞いていてにやっとしてしまいます)。この二人がコンビを組んでアルカトラズに挑むわけですが、敵方を演じるエド・ハリスもうまいです。何の説明もなくいきなり降って沸いたように毒ガスを奪ったわけではなく、テロに至るまでの心境もちゃんと描かれています。敵方がしっかりしていないと主役の活躍も引き立ちませんからね。2時間近くあってかなり長い映画なんですが、その長さを全く感じさせません。アクション映画の快作だと思います。

*ところでラスト、ニコラス・ケイジがショーン・コネリーからプレゼントを受け取るんですが、あれがショーン・コネリーが幽閉されていた理由だったんでしょうか。

*ここまで書いていて、「亡国のイージス」のシチュエーションがこの映画に微妙に似ていることに気が付きました(あと、「沈黙の戦艦」にも)。こういうシチュエーションって、映画にしやすいのかも。

| | Comments (0) | TrackBack (3)

September 29, 2004

ライトスタッフ

ライトスタッフ スペシャル・エディション

発売日 2003/09/05
売り上げランキング 2,151


Amazonで詳しく見るB0000ABBYD

タイトルの「ライトスタッフ」とは「正しい資質」を意味します。この映画では、宇宙飛行士としての「正しい資質(と思われるもの)」という意味で使っているようです。

米ソ冷戦時代。宇宙開発の分野でソ連に一歩先を取られた分を取り返すべく、アメリカはマーキュリー計画をぶち上げます。計画推進のために宇宙飛行士候補として選ばれたのはテストパイロットたち。トップクラスの操縦の腕を持ち、常に死と隣り合わせの恐怖に打ち勝って空を飛び続ける彼らにはうってつけの任務と思われました。しかし、国家を挙げてのプロジェクトで世界中の注目を浴びる宇宙飛行士(無事に地球に帰還すればパレードの上にヒーローインタビュー!)といえど、宇宙船に乗り込んでしまえば操縦の腕を全く要求されない、サルと同じというのが実情でした。栄光と屈辱の両方を味わいながらテストパイロットたちは宇宙へと挑むことになります。

一方で、国家の勧誘に背を向けてテストパイロットとして空に挑み続ける男たち。その象徴として、初めて音速の壁を破った男、チャック・イエーガーの姿が描かれます。世間の注目がテストパイロットから宇宙飛行士に移ろっていくのを実感し、かつての同僚たちがもてはやされるのを横目で見ながらひたすら記録に挑む彼の姿が宇宙飛行士たちと対照的に描かれます。ラストでひたすら空を飛び続ける彼の姿は爽快でさえあります。

つい最近になって20万ドル程度で宇宙旅行を提供するビジネス計画が発表されるなど、宇宙飛行への垣根がどんどん低くなっているのが分かります。あと数十年たったら「ライトスタッフ」という言葉が宇宙飛行士に対して使われなくなるかも...などと考えさせられる映画でした。そして、国家の英雄として栄光(そして屈辱)の道を歩むのと、ひたすら自分の道を進み続けるのと自分ならどちらを選ぶのだろうかとも。ちょっと長いですが、宇宙開発に興味のある方にはお勧めです。


*この映画の原作ザ・ライト・スタッフ―七人の宇宙飛行士も出ています。ちょっと読みにくいですが、感傷的な書き方はされてませんのでドキュメント風に読めます。


*同じように宇宙を目指しながら、サルに先を越されてしまった宇宙飛行士たちの数十年後...がスペースカウボーイかもしれません(テイストは全く違いますが)。

| | Comments (4) | TrackBack (6)

September 17, 2004

空の大怪獣 ラドン

空の大怪獣 ラドン

発売日 2001/02/21
売り上げランキング 14,121


Amazonで詳しく見るB00005HTF3
北九州の炭鉱で起きた殺人事件。容疑者も特定され、後は逮捕を待つだけのはずだった。その事件の裏に潜むものには誰も気づかずに...捜査が難航する中、地殻変動によって古代の翼竜が復活!福岡は完膚なきまでに破壊されていく。ラドンよ、空を駆けろ!

あの「ゴジラ」から2年後、ゴジラのあまりの暗さに東宝が方向転換を決めたのかもしれませんが、青空の下、何ともスカッとした映画です。前半部分はサスペンスタッチでどきどきしながら観てました。自宅の庭先にあんなのが出てきたら(トンボのヤゴがモデルのようですが)、自分だったら飛び上がって走って逃げるかも。メガヌロンが人間に追われて山を登るところの絵なんて、実にシュールです。

そして後半。画面は一転してラドンによって完膚なきまでに破壊される福岡を描きます。ゴジラには個人的に「地獄の劫火の中を歩む怪獣」ってイメージがあるのですが、ラドンのイメージは「スカッとさわやか、爽快に破壊!」ですね。ソニックブームによって破壊される福岡の有様は一種爽快です(福岡の方、申し訳ない)。この爽快さは、おそらくラドンが福岡を破壊しようとする意思を実は持っていないからだと思っています。ゴジラの場合には東京を破壊しつくしてやるという明確な意思があったわけですが、ラドンの場合には餌を求めて飛び回っているうちになんか下のほうで埃が浮いていると(笑)。そのうち変な蚊トンボみたいなのがまつわりついてくるし、ラドンとしては大迷惑だったに違いありません(人間も迷惑だったわけですが)。このあたり、餌を求めて里に下りてくるクマとあまり変わらないような気がします。破壊の快感がラストの物悲しさとあいまって、怪獣映画の名作だと思います。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

August 26, 2004

ロシアは今日も荒れ模様

ロシアは今日も荒れ模様
米原 万里

発売日 2001/02
売り上げランキング 18,113


Amazonで詳しく見る4062730804

長年ロシア語の通訳をつとめてきた著者が、ロシアに滞在した折やロシア人とのふれあいの中で見聞きしたエピソードの数々。抱腹絶倒ものあり、しんみりするものあり、ハッとさせられるものあり。

「ロシアは謎の謎、そのまた謎」とチャーチルが言ったそうですが、ソ連とロシアの両方を見てきた著者によるエッセイです。ウオッカに関する小話も笑えますが、禁酒キャンペーンを張っていた頃のテレビの協賛番組のエピソードも笑えました。

*昔はロシア(ソ連)の宇宙飛行士は特権階級だったのですね。3年ほど前ですが、ロシアの宇宙飛行士で銀行家に転進した人の話を聞いたことがあります。今では宇宙飛行士も特権階級とは言えないかも。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

August 17, 2004

レパントの海戦

レパントの海戦
塩野 七生

発売日 1991/06
売り上げランキング 10,166


Amazonで詳しく見る4101181055

コンスタンティノープルの陥落から約100年、スペイン、ヴェネツィアその他の国からなる連合艦隊がオスマントルコを迎え撃つ。それぞれの思惑から足並みのそろわないヨーロッパ側、スペインの横暴に苛立つヴェネツィア...そして、オスマントルコとの決戦の時は来た。

トルコからヨーロッパへ、地中海から大西洋へと時代が移り変わる転換点を生きた人々の物語です。物語は淡々と
進んでいきますが、読み終えてなぜか寂しさを感じます。それは歴史の転換点にあっても目の前のみを見て生きるしかない人間(自分も含めて)に感じるものなのかもしれません。

*三部作として、コンスタンティノープルの陥落ロードス島攻防記もお勧めです。

| | Comments (0) | TrackBack (1)